たかぽんつれづれ日記

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zoom RSS ふたりの文人〜観魚と蒼人

<<   作成日時 : 2011/01/22 00:13   >>

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或る骨董屋さんの片隅に仲良く置かれた徳利が二本。大して古そうでもないけれど、その形が可愛らしいな。と取り上げてみる。そこにはちょっと変わった字がてらいもなく書かれている。それよりも黄釉で無造作に描かれた模様が、どこか素心蝋梅(そしんろうばい)のようにも見えて気になったのがホントのところか。それにしてもこの字には見覚えがある。つたない記憶をたどって、伊藤観魚(いとう かんぎょ:1877〜1969)であることに気がついた。伊藤観魚ときいても、「ああ、あの人ね。」と頷首してくれる方のどれほどいようか。私自身もよく知らない。名古屋の文人で、俳人で書家で、、、。あえていうなら幕末の山中信天翁(やまなか しんてんおう)みたいなイメージ。といったところで第一、山中信天翁って誰?ということばが返ってきそうだ。第一、政治家である翁と料亭の次男で趣味人ともいうべきこの二人がどう同じイメージなのか。私にもよくわからない。でも、この(河東)碧梧桐を連想させるようなこの人の書も嫌いではない。
ところで何と書いてあるのか。「旦喜太平世、日々酔如痴。観(魚)」(ただ、太平の世を喜びて痴の如く酔う。)なんだかいい言葉だな。と思い店の主人に差し出せば、「あれ、これだけだった?」と訊かれてもとの場所を見るに、徳利がもう一本。徳利というより、大きな銚子というべきで、こんなんで呑んだ日にはあっという間に良いつぶれてしまうだろう。心なしか尻込む私に、「実は、こちらの徳利の作者は殿島蒼人(とのしま そうじん)といってね、、、。ふたりは友人なんですよ。」と主人は続ける。
いわれて見ればこちらにも絵と漢詩が。
「朝日に容鬢を看て生涯、鏡中に在り。」とあって、横にはトビウオのような魚が描かれている。殿島蒼人(1897〜1970。)は岐阜の岩村の人。ジャーナリストであり、俳人でもあったそうである。観魚と蒼人は20歳の年の差はありながらもほぼ同時代を同じ価値観を共有して生きたのだろう。一緒に絵付した徳利を持ち寄ってさしつ、さされつ酒を深更まで酌み交わして芸術や俳論を闘わせたのかもしれない。観魚の徳利はその後、蒼人に譲られたらしく二つはこれまで共に在った。これからも共にあるべきなのだろう。箱でもしつらえて納めておこうか。箱書は、、、蒼人の孫弟子であるところのくだんの骨董屋のご主人に頼もうか。そこに一句そえてもらうか。
今、この二本の徳利を前にし一滴も呑むことなく酔境をさまよわんとしている私である。
「朝日看容鬢 生涯在鏡中 旦喜太平世 日々酔如痴」

画像

<犬山焼徳利 二本 伊藤観魚ならびに殿島蒼人 絵付>

画像

  <同 裏面>

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